どっきゅん♡LOVER
「サーヤちゃん、カメラ目線ちょうだーい?」
放課後、あたしはお仕事に臨んでいた。
音楽雑誌のグラビア撮影。
今日は久しぶりに、大好きな片ピーに写真を撮ってもらえるってことで。
前からずっと、楽しみにしてたんだけど……。
「どうしたの、サーヤちゃん」
「え?」
「何か悩んでることでもある?」
思わずドキッとする。
沈んだ気持ちは奥に押し込んで、ちゃんといつもの顔に切り替えられてるつもりだったのに。
さすが一流のカメラマン。
彼の目は、簡単にはあざむけないみたい。
だけど。
「全然! ちょっと、寝不足なだけ……」
ほんとのことは絶対に言えない。
あたしは笑いながら、ごまかすように返した。