どっきゅん♡LOVER






約1ヶ月前。

その日はそう、入学式当日の朝だった。


ひと悶着あったものの、なんとか願望叶って修平と同じ兎月学園に通えることになったあたし。

同じ中学の人たちの中で、兎月を受験した人が修平はもちろん、まなみんと涼子ちん以外はいなかった(日野っち調べ)ことが、幸いだったみたい。


よしよし。

あたしが“サーヤ”だとは、誰ひとり気づいてないみたいね。

素通りされる度に密かにほくそ笑む。



ふふっ。

……修平、まだかなー?


校門をくぐった少し先で、ドキドキそわそわ、その姿を捜す。



膨らむ期待に、浮き立つ心。

妄想は広がるばかりで。


きゃ〜っ!

トキメキの学園ラブ始まっちゃう〜!?


なんて、この時のあたしは、これから繰り広げられるであろう素敵な高校生活を確信して疑わなかった。



すると、しばらくして──。


見つけた!

捉えてすぐ、一直線に駆け寄った。


『しゅーへ──』

『ちょっと来い』


え!?

その瞬間、右手がグイッと引っ張られた。

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