どっきゅん♡LOVER


どうしよう。

修平にも気づかれちゃった。

どうしよう……。



「お待たせー!」


あたしは、待っててくれたふたりの元まで、駆け足で近づいていった。


「吉良様、もういいの?」

「うん」


そろり訊ねてきたまなみんに、笑顔で答える。

と、その時。


「沙弥ちゃん……?」


何かが頬を伝った。


「あ、あれっ」


おかしいな。


ぽろぽろ、ぽろぽろ、

勝手に零れてくる。


「あはっ、どうしちゃったんだろ、あたし……」


──ギュ。


早口に呟いた時、左右から一気に包み込まれた。


まなみんも涼子ちんも、なんにも言わなかった。

ただあたしのことを、優しく、温かく、抱きしめてくれたんだ。

< 232 / 274 >

この作品をシェア

pagetop