どっきゅん♡LOVER






「ねぇ、日野っち」


帰りの車内。

あたしは、一つの決心を胸に口を開いた。


これからあたしはどうするべきなのか。

ずっと悩み続けていた、そのことについてだ。

恋を捨てるか、それとも──。



「あたし……」


そこまで言って、喉が詰まった。

震える声。

だけどあたしは、最後まで振り絞る。


「あたしアイドル、やめ……る、ね」


すると日野っちは、あっさりと、まるでそれを予期してたように答えた。


「わかりました。あなたがその気なら、今から社長に会いに行きましょう」


何でだろう。

わからないけど。


「……うん」


あたしはその時、すぐに返事することができなかった。

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