どっきゅん♡LOVER
あれ?
「待って日野っち」
なんか、おかしい。
「道、間違ってるよ」
あたしの記憶が正しければ、事務所は逆方向。
いや、絶対正しい。
間違えるはずない。
なのに。
「そうですか?」
日野っちはとぼけた返事をした。
「ちょっと、どういうつもりなの?」
普通に考えて、日野っちが間違えるなんて天地がひっくり返ってもありえない。
じゃあ何でわざと違う道に?
事務所に向かうんじゃないの?
それに、こっちは──。
「さあ、着きましたよ」
パニック状態の中、そう言って日野っちが車を停めた。
何で……。
「何で戻ってきたの!?」
あたしは困惑し、運転席に身を乗り出す。
意味わかんない。
だってここは……さっき出たばかりの駐車スペース。
兎月学園の中なんだもん。