どっきゅん♡LOVER
「行きますよ」
「えっ?」
驚いているうちに、カチャッとシートベルトを外す音が聞こえた。
何がなんだかわからないあたしは、きょろきょろと視線を動かす。
そんな中、日野っちは涼しい顔つきで外へ出た。
「沙弥さん」
座席に座り込んだ時、隣のドアが開けられ。
あたしは、日野っちに引っ張り出されてしまった。
「ちょっと……!」
放課後とはいえ、校舎の中にはまだ人がたくさん。
だというのに、日野っちは平然とした様子で廊下を進んでいく。
一言も発さず、あたしの手を引いて。
気づいてないんだろうか……。
「日野っち、目立ってるよ」
小声で教えてあげるも、日野っちは足を止めない。
どこへ行くの?
いったい、なんなの?
全くもって、答えが見いだせない。
そして、階段をいくつか上った先。
ようやく日野っちが足を止めた。