どっきゅん♡LOVER
「日野っち、どういうこと!」
振り返ると、その姿はどこにもなかった。
なんで。
なんで、あたしをここへ。
混乱する脳に、修平の声が響く。
「沙弥、話がある」
「な、何?」
──怖い。
突如襲ってきた感情に、あたしは後ずさりをする。
「アイドル、辞めるのか」
「……っ!?」
どうして、それを。
あまりに驚いて、声も出なかった。
「日野さんからメールで聞いたんだ。何があったのか、全部。お前が、アイドルを辞める気だってこともな」
日野っちが……。
そうか。それで日野っち、あたしをここに連れてきたんだ。
修平に、あたしと別れるように、説得させるために。