どっきゅん♡LOVER
「もう一度訊く。沙弥、お前は本気でアイドルを辞めるつもりなのか」
流れた雫を拭った時、訊ねてきた修平。
私は迷わず答える。
「うん。そう──」
“そうだよ”
言いかけた声を、低い声にかき消された。
「黙れ。俺は、南沙弥に訊いてるんだ」
「……っ!?」
意味がわからない。
「私、南沙弥だよ」
「いや、違うな」
「なっ」
「少なくとも、俺の知ってる南沙弥は、そんな甘ったれた考えの奴じゃない」
……なによ。
何が言いたいっていうのよ。
あたしはあたし。
そんなこと言われたって──。
「アイドルになるのが、お前の夢だっただろ」
「……っ」
その瞬間、あたしの中に何かが駆け巡った。