どっきゅん♡LOVER


小学校6年の時。

たまたま見つけた新人発掘オーディションに応募したのをきっかけに、あたしは今の事務所に入った。

事務所にさえ入ることができたら、アイドルになれる。

そう思っていた。

けれどその頃やってたお仕事は、ファッション誌のモデルばかり。

とっても新鮮で、楽しかったのは本当。

だけど、何かが違った。


そのまま月日が経ち、中学2年になった時。


『社長、あたしに、アイドル活動をさせてください!』


変わらぬ状況に、あたしは自ら社長にお願いしにいった。

どうしても諦めきれなかったんだ。

あたしの夢は、やっぱりアイドルだったから。


すると社長は、すぐに顔を歪めてこう言った。


『今どきピンのアイドルなんて流行らないよ。もしやりたいなら、どっかのアイドルグループのオーディションでも受けるんだな』

『……っ』


悔しかった。

だけど、どうしたらいいのか、答えが全然見つからなかった。


そんな時。


『今日から、レッスンを開始します』


そう言って、日野っちが手を差し伸べてくれたんだ。

何度も何度も、あたしがアイドル活動をできるよう、社長に頼み込んでくれたらしい。


『うんっ!』

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