どっきゅん♡LOVER


「……たし」


馬鹿なあたしは、そんな大切なことさえも、見失っていたんだ。


「好き……。アイドルが、大好き……っ」


なりたくて仕方なかった。


「……辞めたく、ないよぉっ!」


あんなにもひたむきに、全力だったじゃない──。



「沙弥っ」


崩れ落ちそうになる寸前、修平に抱きとめられた。


視界が滲んで、何も見えない。

足に力が入らない。


「修平……しゅう、へぇ……っ」


あたしは声を上げながら、その胸に必死で縋りつく。


「もう辞めるなんて言うな」

「……っ、ん」

「絶対辞めるな」

「うんっ。絶対……辞めない、っ!」


力強く答えるとともに、修平がぎゅっと腕の力を強めた。



「それでこそ、俺の好きな南沙弥だ」


「……っ」

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