どっきゅん♡LOVER
「……そうですね」
キリリと表情を引き締めた日野っちは、俯き加減でメガネを上げる。
大丈夫かな……。
あたしは静かにその姿を見守りながら、汗に滲む手をぎゅっと握り締める。
張りつめた空気。
そこへようやく、日野っちが声を落とした。
「仕事に恋愛は必要ないもの。……いや、かえって仕事に支障をきたすものだ」
「……っ」
日野っち……!?
真っ直ぐに前を見据えて言った彼に、あたしは呆然とする。
どうしてそんなこと。
「──と、少し前までは考えていたんですが。……気が変わりました」
……え?
地面に視線が落ちた時、聞こえてきた日野っちの声。
あたしは、無意識のうちに顔をあげていた。