どっきゅん♡LOVER


「ど、どういう意味だ!」


さっきまでのほくほくとしていた表情から一転、社長の眉間には、深いシワが刻まれている。


「僭越ながら申し上げますが。社長は、“沙弥”の魅力をどのように解釈してらっしゃいますか?」


あ、あたしの、魅力?


あまりにも突飛なその質問。

すぐさま首を捻ったあたしと同じように、社長は困惑した表情で口を開いた。


「よくわからんが、笑顔……だろうな」

「笑顔……」


ぽつりと復唱するや否や、日野っちはふっと不敵な表情を見せる。


「同意見ですね」

「それが、何だというんだ」

「社長は、その彼女の最大の魅力を奪うおつもりですか?」

「は……?」


ぽっかりと口を開け、“君は何を言ってるんだと”言わんばかりに目を丸くする社長。

そして。


「気づいたんです。彼女の笑顔の根源に」


──ドクンッ。


日野っち……。

その時ニヤリと口角を上げて言った彼に、あたしの心臓は、激しく騒いだんだ。

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