どっきゅん♡LOVER


流れる沈黙。

次第に緊張感が高まる。


どれくらい無音の状態が続いたんだろう……。

社長の顔つきが、なんとなく変わった気がした。

ゴクリ。

固唾を呑んで、ドキドキと様子を見守る。


すると、おもむろにその唇が動いて──。



「お前には負けたよ、日野」


聞こえてきたのは、呆れたようなそんな声。


「社長……!?」


驚くとともに、あたしは口許に手をあて叫んでいた。



「仕方がない。その代わり、今言ったことは絶対に守ってくれよ?」

「もちろんです。ありがとうございます」


放心するあたしの耳に、社長と日野っちの会話が入ってくる。

だけどまだうまく状況を呑み込むことができなくて。

ただただ、立ち尽くすばかり。


……認めてくれたって、こと?

本当に?

そう思って、いいんだよね……?


ぼんやりと理解しだす中、社長の目線が修平へ動いた。

それに伴い、あたしの顔も同じ方へと向かう。


「修平くんだったね」

「はい」

「沙弥を、よろしく頼むよ」

「……任せてください」


修平……。


「それから沙弥」

「はいっ」


いきなり呼ばれ、背筋がピシッと伸びる。

急いで振り返ればすぐ、こっちを見ていた社長と目が合った。

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