どっきゅん♡LOVER


「「ええっ!?」」


事のあらましを全部話した途端、驚きに満ちた声が大きく教室に鳴り響いた。


修平との関係がバレそうになったこと。

別れろと言われたこと。

アイドルを辞めようとしたこと。


全てきっと、想像してなかったことなんだろう。


「何かあったんだとは思ってたけど……」

「まさか、そんなことになってたなんて……」


ふたりは、深刻な顔であたしを見た。


「辞めたりなんてしないわよね、沙弥ちゃん?」

「吉良様とも……!」

「もちろん。全部、これまで通りだよ」


あたしはにっこりと口の端を持ち上げて、淀みない口調でそう答えた。

と、その時。


「南ー」


聞き慣れた声に呼ばれて、振り返る。

その先にいたのは、案の定、矢野新だった。


「職員室に来いって。担任が呼んでた」

「え、ありがとう」


土田先生が?

なんだろう……。


「ちょっと、行ってくるね」


まなみんと涼子ちんに言い残し、すぐさま後ろのドアを目指す。

と、一歩廊下に出たところで、再び矢野新の声がした。

< 265 / 274 >

この作品をシェア

pagetop