どっきゅん♡LOVER


「おまたせ!」

「いや」


待ちに待った、土曜日の夜7時。

家からお母さんに車で連れてきてもらったのは、フレンチレストラン。

店員さんに案内された個室に入ると、先についていたらしい彼が静かに席に座っていた。


「ふふっ」

「なんだよ」

「嬉しいんだもん、修平とのデート」


顔を顰める修平に、あたしはサングラスをカバンにしまいながら、心をウキウキさせて答える。


お仕事が終わったあと、食事デートをしようと約束していたあたしと修平。

だからこうやって、フレンチレストランで待ち合わせをしていたんだ。

それもなんと、修平からの提案で。

お忍びでと、個室を予約してくれたのだ。


デートの約束なんて、いつもあたしからしかしてこなかったのに。

どうしちゃったの?

なんて、はじめは驚きを隠せなかったけど、今はそれを忘れちゃうくらいに幸せの感情で満ちている。

< 267 / 274 >

この作品をシェア

pagetop