どっきゅん♡LOVER
*
「メーン!」
お、やってるやってる。
放課後の掃除終わり、あたしは一人武道場へと足を運んだ。
お目当ては、剣道部。
もっといえば、その中の一人に会いたくて、ここまでやって来たんだけど……。
「んーっと」
扉の前で、きょろきょろと目を動かす。
あ、いた!
光の速さで見つけた“吉良”の文字に、視線がピタリと止まる。
はぅぅ……たまんない。
袴姿って、どうしてこうもかっこいいの?
スポーツ万能で、小さい頃から剣道をやっている修平。
中学の時は主将を務めていたほどの腕前で、案の定高校でも剣道部に入部したんだ。
──ピーッ。
あ、休憩だ。
ってことは、そろそろアレ……くるかしら?
ホイッスルの合図を聞いたあたしは、にやける口元を手で隠しながら、じいっと一点を見つめる。
その手は慣れたように面の紐を解いていき──。
ボスッ。
「……っ」
どっきゅん、ハートが射抜かれた。
目に飛び込んできた整った横顔。
汗で湿った髪がいつもより艶っぽくて、クラクラしちゃう。
これこれ!
これが本気で最高なのよ……!