どっきゅん♡LOVER






「メーン!」


お、やってるやってる。


放課後の掃除終わり、あたしは一人武道場へと足を運んだ。

お目当ては、剣道部。

もっといえば、その中の一人に会いたくて、ここまでやって来たんだけど……。



「んーっと」


扉の前で、きょろきょろと目を動かす。

あ、いた!

光の速さで見つけた“吉良”の文字に、視線がピタリと止まる。


はぅぅ……たまんない。

袴姿って、どうしてこうもかっこいいの?


スポーツ万能で、小さい頃から剣道をやっている修平。

中学の時は主将を務めていたほどの腕前で、案の定高校でも剣道部に入部したんだ。



──ピーッ。


あ、休憩だ。

ってことは、そろそろアレ……くるかしら?


ホイッスルの合図を聞いたあたしは、にやける口元を手で隠しながら、じいっと一点を見つめる。


その手は慣れたように面の紐を解いていき──。


ボスッ。


「……っ」


どっきゅん、ハートが射抜かれた。


目に飛び込んできた整った横顔。

汗で湿った髪がいつもより艶っぽくて、クラクラしちゃう。


これこれ!

これが本気で最高なのよ……!


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