どっきゅん♡LOVER
「あれ、南さん?」
え、あたし?
思うと同時に振り返ると、見たことのある顔が視界に広がった。
じーー。
まるで異物を見るような目をあたしに向けるのは、同じクラスの村井さんだった。
目立つタイプの彼女とは、言うまでもなくほとんど喋ったことがないもので……。
「な、なんでしょう」
急に話しかけてくるなんて何事?!
と身体が瞬時に萎縮してしまう。
「南さん、誰かお目当てなの?」
へ?
「お目当て?」
ああ、なるほどね。
そりゃあもちろん、愛しの──。
「ちょっと美桜(みお)、南さんにそんなこと訊いちゃ失礼でしょ」
村井さんの隣にいた坂田さんが、密やかに言った。
失礼?
なになになに?
どういう意味?
わけわかんない。
「だよねぇ、恋とかしそうにないもんね」
へ。
「そうそう。追っかけなんてありえないでしょ?」
「ごめんね、変なこと訊いちゃって」
手を合わせて申し訳ない表情をする彼女たち。
目の前のあたしは当然、ぽかーん、だ。