どっきゅん♡LOVER


玄関を抜けると、空は一面オレンジ色になっていた。

沈みゆく美しい太陽。

それでも、今のあたしには、「キレイ」だなんて見とれている余地はない。


ただ、進み続けた。


“今すぐ確かめたい!”

そんな思いが、脳の全てを占めているから。



少しして、ピタリと足を止めた。

ハァ、ハァ、と乱れた息で見つめる先は、大きな黒い屋根の家。

あたしの家の、すぐ近所にある家だ。


……そろそろ帰ってるわよね?


早速、その家のドアノブに手をかけてみる。

続けてガチャリと音を立て──。


……え? 

なになに、泥棒みたい?

シーッ。

だって今は緊急事態。

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