どっきゅん♡LOVER


「オッケーでーす。サーヤちゃんお疲れさまー!」

「お疲れさまでーす」


この日の撮影が終わったのは、予定より1時間程早い11時過ぎだった。

スタッフさんたちに挨拶をし、鼻歌交じりに楽屋へ戻っていく。

スタジオを出たところで、あたしは「あっ」と短い声を洩らした。


いたいた。


「日野っち見てたー?」

「ええ、見てましたよ。お疲れさまです」


タタタッと駆け寄ると、彼は流れるように水筒を差し出してきた。

あたしは「ありがとう」と言って、それを受け取る。

そのまま、あたしと日野っちは楽屋の方へと歩きだした。


“あのこと”は、日野っちにも内緒にしてある。

何があっても日野っちだけには言うなーって、修平に何度も何度も言われたんだもん。

だから、絶対秘密!

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