どっきゅん♡LOVER
「……ない」
なかった。
脳内のどこを探しても、その記憶は欠片も見つからなかった。
うそだぁ……!
今さっき言われるまで、全然気づいてなかった事実。
彼女なのに。
付き合ってるのに。
……まさか修平、あたしのこと好きじゃないとか?
ただあたしがお願いしたから、仕方なく付き合ってくれてるだけなの?
そんなの……。
そんなの、絶対いやだよ〜〜っ!
募る不安に頭を抱えたあたしの耳に、ポツリ、悲嘆したような涼子ちんの声が聞こえてきた。
「男性の気持ちを考えるのは、難しいことなのね……」
男性の、気持ち……。
「それだ!」
──キーンコーン。
え!?
あることを閃いた途端、鳴りだしたチャイムの音。
反射的に時計を見て、驚愕した。
もうこんな時間だったんだ……!