どっきゅん♡LOVER
修平だ……!
広いグラウンドの中。
その一点だけが、あたしには一際輝いて見えた。
修平のクラスは体育かー。
いいなー、あたしも混ざりたいなぁ。
自然と緩む口角。
不安な気持ちはいったん忘れて、うっとりとその姿を目で追う。
やっぱり、好きなものは好きなんだもん。
「何ニヤけてんの、南?」
げ、矢野新!
すかさず顔をシャキッと戻す。
彼はこっちに顔を向け、椅子の背もたれに手をかけていた。
あたしは例の如く、よそ行きの声で返す。
「べ、別に、なんでもないけど」
「ふーん、そっか」
そうそう、だからもう前向いて?
あたしは早く愛しの修平を観察したいの!
笑顔を貼り付けながら、心の中でひたすら“前向けー”と念を飛ばす。
しかし、思いは通じてくれなかったのか、彼はまたその口を開いた。
「前から聞きたかったんだけどさ」
「何?」
「南のそれって……伊達メ?」
──ギクッ!!
軽く指を刺された瞬間、雷に打たれたような衝撃が走った。