どっきゅん♡LOVER
「それより矢野くん、お勉強はいいの?」
ノートを奪い返しながら、にこやかに問いかける。
「ああ。課題も全部終わったし、やることねぇから」
「ふぅん、じゃあ──」
──よくないよくない!
もっともらしい言い方に流されそうになっちゃったけど、勉強はいくらでもできるからね?
……まあ、あたしが言えることじゃないけど。
「南は終わった? 結構、休んでること多いけど」
「え、うん。昨日修──」
「ん?」
「しゅう……集合って難しいよね!」
ごまかすべく「うふふっ」と笑うと、矢野新は怪訝そうにあたしを見て首をひねった。
すると。
前の方から、「あらたー」と彼を呼ぶ声が聞こえてきて。
「問3の意味わかる?」
「ん、見せて」
それに応える形で立ち上がった矢野新は、たぶん仲良しなんだろう松木くんの元へ歩いていった。
……ふぅ、やっと解放された。
一息つくなり、さてさて、と窓の外に視線を運ぶ。
だけど。