幸せの静寂
あれから、1週間がたった。
私は、外出許可は出ているため授業は受けているが、部活には行っていない。今、行ったところで皆にどんな顔をして会えばいいのか分からないのだ。
「バイバーイ、また明日!」と、友達と別れ家へと帰る。
空が明るい。学校からの帰り道がこんなにも明るいのはいつぶりだろうか。そんなことを思いながら、校門を出ようとした私の足は止まった。南雲さん❗と、私を呼ぶ声が聞こえたからだ。
「あ……巫君。」
「…今すぐ、体育館に来てくれない?皆、待ってるから。」
その態度は、テコでも動きそうにないものだった。
だから私は、巫君についていくことにした。
巫君と体育館へ行くと、そこには顧問の先生とコーチを含む皆が円になるように座っていた。
「あ、良かった~。南雲さんが来てくれて。」キャプテンがそう言うと、私は皆の円の中に入らせてもらった。
「南雲さん。早速で悪いけど、南雲さんは俺たちの事をどう思ってる?」突然の質問に不意をつかれ、どういう事かと聞いてしまった。
「俺たちは、南雲さんのことは大切な仲間で友人だと思ってるよ。だから、南雲さんはどうなのかなと思って。」
「…仲間だと思ってますよ。…でも、何でこんな質問をするんですか?」
いや、嘘だ。
何となく、気づいていた。
でも、どうせ表面上の絆やら仲間やらの話をされるのだろうと思っていたから、面倒事にならないようにしているだけだ。
「実はね、南雲さんが過呼吸で倒れたときに南雲さんのご両親が俺たちのところにやって来て、頼まれごとをされたんだ。冬香さんの心を開いてあげて下さいって。」
ー三日前の夜ー
「皆さんに、お願いがあるんです。」
この言葉の先にあったものは、親の愛情、そのものだった。
「あの子、冬香は優しい子なんです。だから、私たちに心配をかけさせまいと強がっている部分もあると思うんですけど…。多分、中学の最後の試合で冬香に何かがあったと思うんです。けど、深入りをしてあの子を傷つけてしまうんではないかと思うと、踏み出せないんです。だから、お願いです。あの子を救ってください。」
「だから、友人として、仲間として、ご両親の代わりとして、南雲さんを助けたいんだ。」
視界が滲み、頬がぬれた。
そして、その温かさに涙があふれた。
三度目の、ほんの少しの幸せな静寂が訪れた。
私は、外出許可は出ているため授業は受けているが、部活には行っていない。今、行ったところで皆にどんな顔をして会えばいいのか分からないのだ。
「バイバーイ、また明日!」と、友達と別れ家へと帰る。
空が明るい。学校からの帰り道がこんなにも明るいのはいつぶりだろうか。そんなことを思いながら、校門を出ようとした私の足は止まった。南雲さん❗と、私を呼ぶ声が聞こえたからだ。
「あ……巫君。」
「…今すぐ、体育館に来てくれない?皆、待ってるから。」
その態度は、テコでも動きそうにないものだった。
だから私は、巫君についていくことにした。
巫君と体育館へ行くと、そこには顧問の先生とコーチを含む皆が円になるように座っていた。
「あ、良かった~。南雲さんが来てくれて。」キャプテンがそう言うと、私は皆の円の中に入らせてもらった。
「南雲さん。早速で悪いけど、南雲さんは俺たちの事をどう思ってる?」突然の質問に不意をつかれ、どういう事かと聞いてしまった。
「俺たちは、南雲さんのことは大切な仲間で友人だと思ってるよ。だから、南雲さんはどうなのかなと思って。」
「…仲間だと思ってますよ。…でも、何でこんな質問をするんですか?」
いや、嘘だ。
何となく、気づいていた。
でも、どうせ表面上の絆やら仲間やらの話をされるのだろうと思っていたから、面倒事にならないようにしているだけだ。
「実はね、南雲さんが過呼吸で倒れたときに南雲さんのご両親が俺たちのところにやって来て、頼まれごとをされたんだ。冬香さんの心を開いてあげて下さいって。」
ー三日前の夜ー
「皆さんに、お願いがあるんです。」
この言葉の先にあったものは、親の愛情、そのものだった。
「あの子、冬香は優しい子なんです。だから、私たちに心配をかけさせまいと強がっている部分もあると思うんですけど…。多分、中学の最後の試合で冬香に何かがあったと思うんです。けど、深入りをしてあの子を傷つけてしまうんではないかと思うと、踏み出せないんです。だから、お願いです。あの子を救ってください。」
「だから、友人として、仲間として、ご両親の代わりとして、南雲さんを助けたいんだ。」
視界が滲み、頬がぬれた。
そして、その温かさに涙があふれた。
三度目の、ほんの少しの幸せな静寂が訪れた。