再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
幸運にもあかり照明に必要な商品の在庫があり、急ぎで発送してもらうことになった。
申し訳ないくらい丁寧な対応をしてくれて、明日の朝には現場に到着するという。
私はその内容を永嶋さんにも電話で伝え、明日でも問題ないと言うことだったので発注をかけ、メールで発注内容を送っておいた。
作業がなんとか落ち着き、肩の力を抜いたとき、瑠花が声をかけてきた。
「紗菜美、大丈夫? 落ち着いた? 何か手伝えること、ある?」
彼女に心配そうな表情が浮かんでいるのを考えると、私と永嶋さんのやり取りを見ていたらしい。
タイミングを見計らって様子を見に来てくれたようだ。
「ちょうど落ち着いたところだから大丈夫だよ。ありがとう。ごめんね、心配かけちゃったよね」
「ううん、それはいいけど……永嶋さんのあの言い方はちょっと酷いよ。もっと言い方があるでしょ」
「ううん、私が悪いから心配しないで。瑠花、申し訳ないんだけど、後で返品作業の仕方教えてもらえるかな」
「もちろん」
「ありがとう。少ししたら行くね」
「いつでも大丈夫よ」と瑠花は言葉と笑顔を残し、デスクに戻っていった。
近くのデスクにいた同僚もタイミングを図っていたようで、「ドンマイ! 大丈夫、大丈夫!」と優しく声をかけてくれた。
なんの落ち度もない素敵な照明を返品するのは心苦しい。
でも、企画をたてる仕事をしていない私にはその照明をうまく利用することができない。
今度はちゃんと必要なところに間違いなく届きますようにと願いながら返品作業に取りかかろうと瑠花のデスクに向かおうとしたとき、オフィス内に「お疲れ様です」と聞き慣れた声が響いた。