再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
航くんの手が私の頭に伸びてきて、軽く乗る。
「紗菜。ゆっくりでいい。俺のこと、どう思ってるか教えて」
髪を優しく撫でられ、切なさを含む低音の声とともに私の心を震わせる。
そっと彼のことを見上げると、熱のこもった瞳が私を映している。
その熱は私の気持ちを簡単に引きずり出した。
「……私ね、もっとたくさん航くんのことが知りたい」
「うん」
「それは、つまり……その、す、好きに……なったから、かもって……」
反応を窺うように航くんのことを見ると、彼は不満そうに眉間にシワを寄せた。
何か間違えただろうかと、心臓が嫌な音をたてる。
「そんな中途半端な言い方、許すわけないだろ。はっきり言って」
必死に口にした告白だったのにダメ出しをされ、私は頬を膨らます。
「なっ、何がダメなの! ちゃんと言ったのに!」
「うるさい。早く言えって。そんな中途半端に言われたらもう待てない」
「だからっ……、私、航くんが好き! っていうか、ゆっくりでいいって、ひゃっ……!」
急かされて勢いのままロマンティックからはほど遠い告白をした次の瞬間、私の身体に力がかかった。