再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
02
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小さい頃の夢を見た。
私の目に映るのは、白い雲が気持ちよさそうに泳ぐ青空。
頑張って勉強したにも関わらずテストで人に見せたくないような点数を取ってしまい、私は落ち込んでいた。
悔しくて涙をこらえようと空を見上げていると、男の子の手が私の頭を優しく撫でてくれた。
恥ずかしさを覚えながらも彼に話を聞いてもらうと、「精いっぱい頑張ったことは無駄にならないから。次は必ずできる」と言ってくれた。
成果は出なくても頑張ったことを認めてもらえたことが嬉しくて、涙が止まらなくて泣いていると、彼は「ひとりで泣くなよ。つらいことなんか吹っ飛ばしてやるから、泣きたいときは俺のところに来い」と口にした。
すごく心強く感じて彼の名前を呼ぼうとするけれど、声が出ない。
あれ? どうして? 名前を呼びたいのに……。
ねぇ、……くん……。
……そこで私は目を覚ました。
目に映るのはカーテンから漏れる明るい光だ。
「……あー、夢、かぁ。はぁ」
身体の力を抜き、うつぶせで寝転ぶ。
今日は土曜日だ。何にも邪魔されずに好きなだけ寝ていられる。
このまま何も考えなければ気持ちよく眠りに落ちてしまえるんだろうけど、つい夢のことを思い返してしまう。
というのも、違和感を覚えたからだ。
「……あれ? 今のって……航くん、だった?」
夢とはいえ、今の内容は私の小さな頃の記憶として頭に残っているものだ。
……ただし、記憶では今の言葉を言ってくれたのは翼くんだったはず。
でも口調はどちらかと言えば、航くんのものだった。
どうして航くんが私の小さい頃の夢に出てくるの?
正直、昔の航くんとはあまりいい思い出はなかったし、こんなにいい夢心地で目が覚めるとは思えない。
都合よく夢がすりかえられているのかなと思ったとき、スマホの着信が鳴り響き、私は身体を跳ねさせて「ひえっ」と情けない声を出してしまった。