再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
カップやお菓子をリビングのローテーブルに置いて、ふたりでソファに腰を落ち着かせると、航くんは伸びをした。
「眠いの?」
「ん、眠い」
イタリアとの時差って何時間だったかなと思いながら、聞きたくてうずうずしていたことを口にする。
「それでも、私と一緒にいたかったんだ?」
「まぁな」
「!」
あっさりと認めたことに驚いていると、航くんは上げていた腕を私に伸ばしてきて身体を引き寄せた。
「紗菜も同じだろ?」
「うーん、どうかなぁ」
航くんの肩にすり寄りながら彼の顔を見上げると、顎を取られ、「素直に認めろ」とキスされた。
寄りかかったままでは体勢がきつくて、反対側の肩に手を伸ばして抱きつくように体勢を変える。
その間も離れたり触れたりの繰り返しで、じゃれあうようにキスをする。
頬だけでなく耳や首筋を撫でてくる航くんの手の動きに身体が熱を持っていき、まだ昼前なのにと思いながら航くんの熱を感じていると、ふと唇が離れた。
彼の顔を見ると切ない瞳があって、心臓が高鳴る。
「紗菜」
甘すぎる声に次を覚悟したとき、身体を離されソファーの背に体重をあずけるような格好になった。
近づいてくる航くんに緊張が高まった瞬間、軽く頬をつままれた。
「期待した?」
「!」
私の反応に対して可笑しそうに笑った航くんは私の頭をくしゃりと撫で、あっさりした態度で私から離れていった。
楽しげな表情を見る限り、からかわれたらしい。