再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
フレーバーティーを飲むと、今まで飲んできたものよりも紅茶の香りが口いっぱいに広がっておいしくて、ほっとした気持ちになる。
イタリアの人ってこんな紅茶を毎日優雅に飲んでるのかな。
「あっ、そうだ。イタリアの写真とかないの? もっと雰囲気感じたい! 他にも航くんが海外で見てきた景色も見てみたいなぁ」
「めんどくさいから後でな」
「えっ、ちょっとだけでも今見せてよ~。ね、航くんお願い!」
航くんがこれまでに見てきた海外の情景がどうしても見たくて腕に抱きついてせがむと、彼は諦めたように息をついた。
「まったく。高いからな」
「えっ、お金取るの」
「アホ。こういうことだろ」
「んっ」
顎を取られ航くんの唇がぶつかってきた。
私を幸せな気持ちにさせているのに何が高いのかなと思っていると、航くんは「残りは貸しにしといてやる。ちょっと待ってろ」とドキッとすることを言い残し、意外にもレンズを付けた本格的なカメラを持ってきてくれた。
写真はやっぱり建物や空間照明のものが多く、スイッチが入ったように航くんは楽しそうに話してくれる。
その中には彼が関わった案件の完成写真もあり、私の興奮もやまない。
他にも写真を見ながらついなんやかんやと妄想を繰り広げたときには、航くんはやっぱり興味なさそうに相づちを打っていて、こういうところはどんな関係になろうと変わらないようで、彼らしいなと思った。
その間には、航くんが作ってくれた昼食のナポリタンを食べてそのおいしさに感動したり、私の知らない時代の航くんのことが知りたくて離れていた間のことをいろいろ聞いたりして、ふたりの時間を過ごした。