再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
食事を終えると、航くんは一緒に食器をシンクまで運んでくれた。
こういうところも意外で口に出してしまうと、「一緒に住むようになったら、家事は半々だからな」と心臓を跳ねさせるようなセリフをさらりと言った後、彼はリビングに去っていった。
まだ付き合い始めたばかりなのに彼が私との将来を考えてくれていることに驚き、私は何も反応できない。
でも彼の想いが嬉しくて仕方なくて、私は彼の言葉を何度も頭の中で反芻し未来を想像しながら、幸せな気持ちで片付けを済ませた。
リビングに戻ると、航くんはソファーにゆったりと座りタブレットを扱っていた。
様になる姿に見とれつつ、タブレットを覗き込んでもいいものか悩みながら彼のそばに近づく。
すると、私に気づいた航くんは目線を上げ、「片付け、ありがと」という言葉とともに、ソファーを軽く叩いて隣に座れとジェスチャーをしてくれた。
わざと彼に寄りかかるように座る。
「何見てたの? イエナイもの? 私、そういうの大丈夫な人だから一緒に見てもいい?」
「アホか。写真整理してたら、おもしろいもの見つけた」
「え、何?」
私にも見えるように傾けられたタブレットを覗き込むと、1枚の写真が画面に表示されていた。
それは、紙で作られた金色の王冠をかぶったぶっきらぼうな表情をした男の子の頬に、かわいいレースのついた洋服を着ている女の子がキスをしている写真だ。