再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 
「ねぇ、紗菜美。自信なさそうにしてるけど、紗菜美、ここ2ヶ月ですごく綺麗になったよ。毎日会っててもわかるくらいに。肌のお手入れをするようになったからっていう理由だけじゃなくて、かわいい雰囲気も残しながらいい感じに大人っぽくなったし、瀬戸さんと恋をしてることが一番大きいんだよ。実際、この前は社内システムのイケメンメガネくんに告白されてたし、最近は街でも声をかけられることが増えてるじゃない。紗菜美が男の目に魅力的に映ってる証拠だよ」


瑠花の誉め言葉は素直に嬉しい。

でも、素直に認めることはできない。


「それは遅れてやってきた小さなモテ期ってやつか、ただの偶然だよ。それに、航くんにそう感じてもらえないと意味ないもん」


私がこれまでに告白されたのは、社内システムの彼以外には元カレと航くんのふたりだ。

だから、社内システムの彼に告白されたときは、驚きながらも素直に彼の気持ちが嬉しかった。

もちろん私にはその気持ちに応えることはできないから、相手の気持ちを考えると胸の苦しさや申し訳なさもあったけれど……。

でもそのときに改めて思ったのは、やっぱり誰よりも航くんに私のことを見ていてほしいということだった。

少なくとも今は航くんはそばにいてくれているし、私らしくいればいいと開き直ってしまうのもありなのかもしれない。

いや、でも……。

また考え込んでいると、瑠花が諭すように口を開いた。


「とにかく、エッチが全てじゃないけど付き合ってるんだから不安に思ってることはちゃんと瀬戸さんに相談しなさいよ。もしかしたら紗菜美がどうこうじゃなくて、何か違う理由があるのかもしれないし」

「……そう、だよね。ちゃんと話してみなきゃわからないよね。航くんと話してみる。ありがとう、瑠花」


瑠花が細かに私たちの関係の進展を確認してくるのは、私が不安な気持ちを持っていると知っているからだ。

仕事だけではなく、こうやってプライベートのことも相談に乗ってくれる存在がいて、私は幸せだと思う。
 
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