再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 
藤岡さんの姿が見えなくなり航くんに視線を向けると、彼は何事もなかったようにパソコンに向かっていた。

さっきの違和感も気になりつつそれ以上に聞きたいことがあり、航くんに声をかける。


「瀬戸さん、来週なんですけど、何か準備しておくことってありますか?」

「いや。少し指示を出すかもしれないけど、当日、率直な感想を聞かせてもらえればそれでいい」

「そうですか、わかりました」


私は普段完成現場に行くことはないし、確かに私にできることはないのだろう。

でも、荷物のようにただついていくだけというのも気が引けるのが正直なところだ。

きっと航くんと藤岡さんはライティングの調整などいろんな仕事の話をするはずだから、少しでも話についていけるように案件の資料だけでも再確認しておきたい。


「案件の確認をしておきたいので、来週のどこかで資料をお借りしてもいいですか?」

「いいよ。ここにあるからいつでも自由に見て」

「ありがとうございます」


邪魔にだけはならないようにしようと思いながら、私は自分のデスクに座る。

そして、今日飛び込みで入ってきた追加作業で遅れてしまった分を取り戻すため、手元にある作業を進めていった。
 
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