再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
唇が離れ、お互いの熱い吐息が混じる。
目線を上げると、色っぽさを含む彼の意地悪な笑みが目に映った。
そんな顔をされたら、負けを認めるしかない。
「まだ全然足りないけど、少しは充電できたかな」
「~~もうっ、航くんのバカっ」
「いいだろ? 少しくらい。業務時間もとっくに終わってるんだし。……もうちょっと、させて」
「ん……」
まるでじゃれるように何度も軽く触れるキスをする。
焦れったく思えて、私からも彼に唇を寄せた。
会社でこんなふうにキスをしてくるなんて非常識だと怒りたい気持ちは確かにあるのに、オフィスでは見せない表情や態度を私にだけ見せてくれていることに嬉しい気持ちのほうが勝る。
それに、リスクを犯してまでこんなふうにキスをしてくれるということは、私に触れたいと思ってくれている証拠だ。
今の私はそのことだけで強い安心感を覚えてしまう。
航くんにどんなに振り回されても私は彼から離れられないし、彼も私を捕らえて離さない。
航くんは本当にずるい男だと思う。