再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~

02

 
***


朝起きると、カーテンの外が薄暗く感じた。

時計を見ると、いつも起きる時間の5分前を差している。

目覚まし時計が鳴る前に目が覚めてしまったようだ。

ベッドから抜け出してカーテンの隙間から外を見ると、雨が降っていた。


「最近は晴れの日が多かったのに、今日に限って雨かぁ……」


私はひとり呟く。

この1週間、あっという間だった。

先月分の企画営業部の案件の取りまとめに加えて、見積書作成や発注作業、資料の冊子作りなど、いつもに増して作業が舞い込んできた。

そういうときこそミスが起こりやすいからと気を引き締めながら、昨日までやるべき作業をこなした。

そんな慌ただしい時間の中、どうにか時間を見つけて、ブライダル改装の資料の内容を私のできる範囲で頭に入れた。

前日の昨日には準備するものがないかを航くんにも再度確認しておいた。

私にできることはしたはずだ。

そして今日、ブライダル改装の完成現場を見に行く日を迎えた。

楽しみな気持ちをしぼませるような天気だけれど、そういう気持ちになるような天候だからこそ、空間の素晴らしさがより際立つと考えたほうがよさそうだ。

気持ちを明るくしてくれる空間。素敵だ。

考え方を変えただけで気持ちはぐんと上がった。


「よし、今日もがんばろう!」


私は仕事に行く準備を始めた。
 
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