再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
無事にいつも通りのバスに乗ることができ、余裕を持って会社に着いた。
エントランスに入ると、つい先日まで同じ部署で働いていた社員の姿が目に映った。
総務部の制服に着替え、ちょうどエレベータから降りてきたようだ。
「涼木(すずき)さん! おはようございます!」
「あら、梶原! おはよう」
涼木さんはいつも、女子力の高いばっちりメイクの綺麗なお姉さんだ。
私の直属の先輩だった人で、入社してからずっとお世話になっていた。
異動してから1日しか経っていないのに、すでに懐かしく思える。
嬉しくて涼木さんの元に駆け寄ると、彼女はふと笑みをこぼした。
「なんか梶原の笑顔見ると安心するわね。そうそう、昨日も梶原がいないと寂しいねってみんなとも話してたのよ」
「わ、本当ですか? 私もみんなに会いたいですし、今度経理課に顔出しますね!」
「うん、いつでも来てよ。また近いうちにご飯にでも行こう。で、企画営業部はどう? うまくやってる?」
「まだ1日ですし仕事は全然まだですけど、同期もいるので今のところはなんとかやってます」
「同期がいると心強いよね。まぁ、梶原なら心配しなくてもみんなにかわいがってもらえるよ。梶原らしく、頑張りなさい」
「ありがとうございます」
涼木さんはいつもこうやって親身になって背中を押してくれて、もし私に姉がいたらこんな感じなんだろうなと思う。
「ねぇ、梶原ってさ、海外営業部から戻ってきた」
「梶原さん、おはよう」
涼木さんが話し始めようとしたとき、背後から声をかけられた。