再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
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今日から4月。朝から気持ちのいい青空が広がっている。
朝の慌ただしい街を照らす太陽は、まだやわらかな暖色を帯びている。
通勤バスで人に揉まれたものの、バスから降りればそんな気持ちのいい空が目に映り、爽やかな風に吹かれながら私は気分よく会社に到着した。
エントランスで出会った総務部の社員に挨拶をして、エレベーターに乗り込む。
5階で降り、先週末まで向かっていたロッカールームには向かわず、私はあるオフィスに足を向けた。
まるで私の門出を祝うように、廊下に設置されている先日変わったばかりのオシャレな照明が私を灯してくれ、背筋が自然と伸びる。
――インテリア業界でここ数年業績を伸ばし続けている“株式会社フジオカ”で、私は働いている。
うちの会社は照明器具をメインに取り扱うインテリア商社であり、商業施設やブライダル、マンション住宅や一軒家住宅などの空間の照明計画や施工を行い、様々な照明メーカーの照明器具を提案・販売している。
学生の頃からインテリアに興味のあった私は、インテリア業界をメインに就職活動をしていた。
無事にこの会社に内定をもらったものの、第一希望にしていた企画営業部の事務職はやはり人気があるらしく、私は総務部経理課に配属されることになった。
私に与えられた業務内容は仕入伝票や請求書のとりまとめを始め、販売した照明器具の問い合わせやクレーム分析といった品質管理を行うというものだ。
最初こそは企画に携わる仕事ができないことに悔しさがあった。
けれど、うちの会社で取り扱っている様々な照明器具のことを知ることができる仕事に、少しずつやりがいを感じるようになっていった。
それでもいつかは企画営業部で仕事をしたいという気持ちは変わらず、今の仕事をひとつひとつこなしていく毎日だった。
そんな私に、つい先日、異動の話が言い渡された。
それは念願の企画営業部への異動で、総務部長にその話を聞かされた瞬間「チャンスが来た!」と思った。
話を聞いてみると、海外事業部で活躍していた社員が国内の企画営業部へ異動してくることになったため、アシスタントの人員を増やす必要が出たのだという。
もともと、企画営業部の事務は昨年度から人数が足りていない状況だったらしく、様々な照明器具のことを知る私に白羽の矢が立ったそうだ。
異動は初めてのことで不安も少なからずあったけれど、私にとってはこれとないチャンスだと思い、私は異動の話を二つ返事で受けることにした。