再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
大学の時に初めてできた彼氏に「夢みたいなことばっかり語られるの、いい加減めんどくさい」と言われてフラれた過去があるのだ。
優しい笑顔で私の話をいつも聞いてくれていると思っていたのに、心の中では面倒だと思われていたことにショックを受けて、しばらくは立ち直れなかった。
それからというもの、さらに私の夢見がちな性格に磨きがかかって、恋愛に対して積極的になれないところはあるかもしれない。
今はもう元カレのことは過去のものとして思えるようになったけれど、やっぱり思い出すと胸が痛くなる。
合コンや遊びに誘われても行かなくなったし、いい加減動かないといけないとは思うんだけれど……。
私は好きになった人にまた同じように言われるのを恐れているのだ。
「あ、ねぇ、瀬戸さんが紗菜美の運命の人なんじゃない?」
「は!? そんなわけないじゃない! ありえない!」
突拍子もない瑠花の言葉に、テーブルを叩く。
「どうしてよ。紗菜美の話からはそう思えたけど」
「どこが!? そもそも航くんが私を恋愛対象として見てるなんて全く思えないし、私だって同じだもん!」
「そうなの? 私はふたり、お似合いだと思うわよ?」
「ないから!」
「なぁんだ。つまんない」
「つまらなくて結構! 瑠花こそ、勝手に変な妄想しないで! もう!」
どうして私の運命の人があんな意地悪な人になるの!
航くんと再会したことがきっかけで、翼くんとも再会するというほうが、リアルだし運命的だ。
それに、航くんは私の夢見がちな発言に対して興味がなさそうにしたり、時にはいちいち指摘してきたりして、完全に私とは正反対の現実主義の人なのだ。
わかり合えるはずがないし、元カレに言われたようなことを航くんだって思っているに違いない。