再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
そして、今日は企画営業部に配属される日だ。
企画営業部のオフィスには先日、挨拶をするために顔を出した。
部署が違えば話したことがない人が多く緊張していたけれど、みんな明るくて優しそうな人たちばかりで、この場所でなら頑張っていけるという決意が固まった。
そのときは海外事業部から異動してくる人は帰国していなかったため、まだ会うことはできていない。
いつ帰国するのかや名前も聞いていないけれど、海外事業部の社員はエースレベルの人たちばかりが集まっているという噂があり、例に漏れずその人もやり手なのだろう。
これから私が誰のサポートをしていくかはまだ伝えられておらず、誰につくとしてもアシスタント経験のない私が役に立てるのかという不安はあるけれど、私にできることを頑張るしかない。
決意を込めるように、胸の前で拳を強く握りしめる。
「よし、頑張ろう! きゃあっ!?」
「わっ!」
気合いを入れて歩く速度を上げた瞬間、ちょうど廊下の曲がり角から現れた人とぶつかりそうになった。
お互いになんとかうまく避け、私は胸を撫で下ろしながら相手に頭を下げる。
「すみません!」
「こちらこそすみません。大丈夫ですか?」
「あ、はい、……?」
お互いに謝り合って目が合った瞬間、私は目の前にいるスーツ男子に釘付けになった。
そしてそれは、私の目に映る彼も同じだった。
私たちは言葉を発することもできず、ただ見つめ合う。
……嘘、でしょ……?