再会した幼なじみは黒王子？ ～夢見がち女子は振り回されています！～

　
「ってことで、今週の土曜日、空いてるか？」

「え？　空いてますけど……」

「そのまま空けといて」

「え、どうしてですか？」

「どうしても。あぁ、資料の仕分けはそれで終わりみたいだな。後は製本して、内容確認？」

「はい、そうですね」


仕事の話に戻され、土曜日のことが何なのかを聞くタイミングを失ってしまう。


「そろそろ本格的にアシスタントの仕事もしてもらいたいし、明日からは見積書や発注書を作りながら製本作業してもらおうと思ってるから。基本的には書類作成を優先で、うまく時間使いながら作業を進めて。見積書作成は今日光石さんに少し教えてもらったんだよな？」

「あ、はい。ご存知だったんですね」

「さっき聞いた。明日やってもらう分は俺が伝えたものをそのまま落とすだけだから、難しくはないと思う。そのうち発注作業とかも任せていくから、よろしく」

「はい、わかりました」


私が頷いたときには航くんは自分のデスクに戻り、パソコンに向かってすぐにタイピングを始めてしまった。

結局土曜日の話は何だったんだろう。

もしかして製本作業が遅れているから、休日出勤をさせられるのかな……。

そんな不安を持ちつつ仕事だからやるしかないと、明日からの作業がスムーズに進むように準備を始めた。