再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
その後、教会からホテルの建物に戻り、ブライダルフェアが全て終わった。
エントランスを豪華に飾る照明を目に映しながら、夢の中にいるような感覚のままいると、隣から航くんの声が降ってきた。
「紗菜」
「うん」
「どうだった?」
「……すごく素敵だった。チャペルの雰囲気も空間全体もそれを灯すシャンデリアや光も……あんな夢みたいな素敵な場所で好きな人と一生を誓えたら、何があっても乗り越えられるし絶対に幸せになれると思った。好きな人のために綺麗なドレスを着てあの場所に立てたら、って女なら夢見る人は多いと思う」
「夢見るだけじゃないだろ?」
「え?」
「紗菜にだってあの光景がいつか現実になる日が来る。夢だけでは終わらないし、さっきよりももっと幸せな笑顔になれる」
「……う、ん」
航くんの手が私の頭に乗り、ぽんぽんと撫でてくる。
バカにされるかと思った。
「また夢みたいなことを言って」って。
「お前を筆頭に夢見る女が多いなんて面倒だな」って。
それなのに、「夢だけでは終わらない」だなんて……。