再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
いつも冷静な航くんが夢中になっている様子を見ていると、なんだか私も楽しくなってきて思わず笑いが漏れる。
「くふふっ」
「は? 何だよ。急に笑って」
突然吹き出した私に、航くんが怪訝な表情を向けてくる。
「ううん。なんか、すごく楽しいなって思ったの」
「ふーん。楽しいんだ?」
「うん、楽しいよ。あっ、ねぇ、これも綺麗だね」
両手で抱えられるくらいの小さい水槽を覗き込みながら航くんに話しかけると、彼はそばに来て「あぁ、綺麗だな」と一緒に覗き込んだ。
そのとき、ふと頭の中に、ある情景が浮かんだ。
「このくらい小さいのだったら、さっきの結婚式場とかにあってもすごく綺麗だよね」
「ん? どういうふうに?」
「結婚式の受付のウエルカムボードにしたり、ゲストを出迎える扉のそばに置いたりしたら素敵じゃない? さすがに金魚は入れられないけど、水槽の中に花嫁と花婿のガラス人形を入れて、名前とか案内のプレートを入れるの。披露宴会場のテーブルに飾っても綺麗だよね。イメージ的には花嫁と花婿が中心にある太陽で一番明るく輝いてて、各テーブルがその周りにある惑星で主役をお祝いしてる、みたいな感じかな」
「ふーん。なるほどね」
「あっ、また夢みたいなこと言って、とか思ってる? 叶わないこと考えてバカだろ、って」
航くんの興味なさそうな相づちに私が先手を打つと、彼は眉間にシワを寄せ、不機嫌そうな表情に一変した。