再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
デスクに戻ると航くんはすぐに私に向かって資料を差し出してきて、私は反射的にそれを受け取る。
「この見積書の作成、明日の午前中までによろしく。まずは資料の確認から入って、案件の内容を把握してほしい。わからないところはすぐに聞いてもらっていいから。何社か商品があるからプランと照らし合わせながら個数の確認といつ納品してもらえるかもそれぞれ確認しておいて。見積書作成でやり方がわからないところは、光石さんに聞いてみて」
「はい、わかりました……」
頷きながら渡された資料に視線を落とす。
明日までということは急ぎの用事じゃないのだろうか。
それか、1日以上かかるような難しい仕事なのかもしれない。
とはいえ、始業時間のたった5分前に急かすように呼ばれた理由にはならない。
周りもまだ仕事を始めている人はほとんどいない。
一方、私に資料を渡した航くんはすぐにパソコンに向かって仕事を始めてしまい、それ以上の会話はなかった。
彼のあまりにもあっさりした態度は逆に気になるけれど、私が望んでいた状況なんだし平穏に過ごせることに越したことはない。
私はデスクにつき、仕事をする準備を始めた。