再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
「案は3つ。照明の位置を変更するか、照明自体を他のものに変えるか、この照明に合う電灯を現場完成までに手配できないかをメーカーに確認するか。どうしてもプランを変更したくないならメーカーに頑張ってもらうか妥協するしかないけど、躓いたときこそ見方を変えて別の案が浮かぶこともある。どうするのがベストなのかは俺がどうこう言うよりも実際にオーナーの想いを聞いたり現場に足を運んだ人間の方がわかるはずだから、今の3つを参考に考えてみて」
「見方を変えて、ですか……。そうですよね、もう少し考えてみます」
「依頼者の夢や想いを現実にしていくことが俺たちの仕事だから、困難にぶつかったとしても実現に向けて踏ん張っていこうな」
「はい、頑張ります。ありがとうございます!」
ほんの数分前まで自信なさそうな表情を浮かべていた山元くんの目に輝きが灯り、頭を下げて足取り軽く自分のデスクに戻っていった。
こんなに短い時間で気持ちを変えてしまうなんて……すごい。
そのとき、「夢を夢のまま終わらせるのか、夢を現実にするのかは、紗菜次第だろ?」という航くんの言葉を思い出した。
この仕事をするようになってから“夢を現実にしたい”という考えを持つようになったのかな。
それとも昔から?
どちらにしろ、仕事の面でもプライベートの面でも、もっと深いところまで航くんの考え方を聞いてみたいと思った。