再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
3.黒王子の考えていることがますますわからない件。
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企画営業部のアシスタントの仕事をするようになってから、もうすぐ1ヶ月が経つ。
最近では、見積書や発注書の作成、新たな案件の図面の製本などの作業を中心に行っていて、一通りのアシスタント作業にも慣れてきた。
航くんが以前手掛けた案件資料の確認はまだ終わっていないため、アシスタント業務の合間に進める毎日だ。
具体的に企画の仕事をするわけではないけれど、いち早く図面や資料、照明のカタログを見ることができるアシスタントの仕事は想像していたよりもずっと楽しい。
日々作業をする中で知識を積み重ねていくうちに、少しずつ図面の見方もわかるようになってきて、充実した毎日を送っている。
……というのは表向きの話で、最近はずっと心に引っかかっていることがある。
航くんと言い合いをしてから、約3週間。
あの日から航くんは、仕事以外のことは私に全く話しかけてこなくなった。
仕事の話をするときには、彼は笑みを一切浮かべずに淡々とした様子で接してくるのだ。
それは今日も同じだ。
「梶原さん、これ発注しておいて。納品場所と日付を確認して、報告よろしく」
「はい。承知しました」
私が差し出された資料を受け取ると彼はすぐにデスクに向き直り、私もすぐに資料に視線を落とす。
最初のうちはケンカの後のように気まずさを感じながら接していたけれど、あの日のことを一切触れてこない航くんに対して、私も淡々と接することしかできなくなっていった。
端から見れば仕事のパートナーとして務めることはできているだろう。
でも私と航くんにしてみれば明らかにお互いを避けているような状態でしかなく、ずっとこんな状態を続けるのは苦しいと思い、何度か話しかけようとした。
けれど、航くんは最近ずっと忙しそうにしていることもあって、結局話しかけることはできず今日まで過ごしてきてしまっている。