再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
しばらくすると、私にお酒をすすめていた部長は航くんや新人たちに連れられ、他のテーブルへと行ってしまった。
それと入れ替わるように瑠花や他の女の先輩たちがやってきた。
どうやら、私の隣に座っていた部長が席を移動するのを待っていたらしい。
女子トークに花を咲かせ始める。
「ねぇ、梶原さんって彼氏はいるの?」
「いえ、残念ながらいないんですよ~」
「そうなの? こんなにかわいい子なのに、もったいない! もし出会いを求めてるなら、今度誰か紹介しようか? 旦那の後輩にちょうど彼女募集中の子がいるんだけど、ここにいる子たちはもう相手がいるから、誰かいないかなと思ってたの。私も会ったことあるけど、すごくいい子よ」
「あっ、お見合いおねーさん、始まりましたね!」
「やだ、そんなんじゃないって! でも、知り合いにはいい恋してほしいじゃない! チャンスはしっかり掴まないと! ねぇ」
キラキラした笑顔を向けられ、私は「そうですね」と頷く。
自分から積極的に動かなくとも素敵な恋が自然に訪れてほしいと夢見てはいても、実際はそんな都合のいい話がないことは理解している。
この話はいい人に出会うチャンスだろう。
そう思うのに、気分は上がらず乗り気になれなかった。
せっかく提案してくれたのに応えられないことに申し訳なく思いながら、口を開く。
「でもありがたいお話なんですけど、今は仕事に集中したいと思ってて……。なので、お気持ちだけ受け取らせてください。ありがとうございます」
「そっかぁ。確かに恋と仕事を両立するのが難しいこともあるし、残念だけど無理強いしても仕方ないか。もしその気になったら、いつでも言ってね」
「ありがとうございます」
「それはそうと、瀬戸くんとはどうなの?」
「えっ!?」
恋愛トークの流れで突然航くんの名前が出てきたことに、思わず声をあげてしまう。