再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 
考え込んでしまっていると、航くんが不思議そうに問いかけてきた。


「なんだよ、会いたくないのか?」

「やっ、違う! そうじゃないよ。会いたい、けど……えっと……、あっ、そうだ! 3人で会いたいな」


自然とそんな言葉が出ていた。

翼くんとふたりで会うよりも、航くんも一緒のほうが楽しいはずだ。

私の言葉に航くんは首を傾げる。


「3人って?」

「もちろん、航くんと翼くんと私の3人だよ。昔の話で盛り上がったりしたら、絶対楽しいと思わない? ねっ」


同意を求めたけれど、航くんは「ふーん」と言うだけで頷いてくれなかった。

そのまま会話は途切れてしまい、ゆっくり歩く私たちを再び夜の静けさが包み込む。

どうして同意してくれなかったのかな……。

航くんは昔みたいに3人でおしゃべりしたいと思わないの?

私と翼くんを会わせるのがそんなに嫌なの?

航くんは昔から翼くんのことを信頼して慕っているし、私が思っているよりも、私は航くんに嫌がられているのかな……。

航くんが私の言葉に同意してくれないことはよくあることなのに、今までで一番悲しかった。

遠くで鳴り響いた車のクラクションの音がどこか寂しく聞こえた。
 
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