再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
資料の山の一番上に乗っている冊子を手に取る。
概要を見ると、ある飲食店のリノベーションの企画のようだ。
今まで企画資料はほとんど見たことがなく、興味津々で内容を見てみる。
さまざまな角度からの図面があり、たくさんの数字や線が書かれている。
ほとんど理解することはできないけれど、たまに現れる写真や立体図から空間を想像するのはワクワクした。
これから先、こういった資料をいち早く見ることができると思うと、気持ちも上がる。
思わず資料にのめり込みそうになるのを抑え、バラバラになっているという資料の山から、今手にしている案件の資料がないかを探し始める。
しかし、量が多すぎて探すのが大変だ。
そのとき、ふとあることに気づいた。
……あれ? 英語で書かれてるものが多くない……?
今手元にあるものは日本語だけれど、他は英語のものも混じっているようだ。
上の方だけかもしれないと次々とめくっていっても、日本語はなかなか見当たらない。
少し考えればわかっていたことだけど、翼くんはこれまでずっと海外で仕事をしていたのだ。
そこでは日本語ではなく、英語でやり取りをしていたはず。
そっか……。だから、電子辞書が必要なんだ……。
難しい言葉があるからだと思っていたけれど、そうではなく英語で書かれているから、翼くんは電子辞書を渡してくれたのだ。
彼の優しさを感じながらも、苦手な英語を目の前にして頭を抱えそうになった。
いやでも、今はメモやタイトルの単語を見て仕分けができれば、製本まではたどり着けるはず……。
後のことは製本を終えるまでに考えよう。