再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 
そういえば航くんは何をしているんだろうと辺りを見渡したとき、後ろ側の棚に他の資料とは別にされた状態で資料が並んでいるのが目に入った。

気になって、一番端にある資料を手に取って見てみる。

すると、表紙に今年の日付と青木さんの名前、そしてさっき航くんと話したばかりの社内の照明のプランの内容が書かれてあった。

ちゃんと案件として資料作成もしているんだと感動しながら内容を見ていたとき、ハッとあることに気づく。

今年のプランがここにあるということは、それ以前の分もここにあるんじゃ……!

早速私は今年の資料を棚に戻し、その横にある資料を手に取った。

するとそこには、4年前の日付と航くんの名前が書かれていた。


「えっ、航くん……?」


まさか彼の名前が書いてあるとは思ってもみなくて、驚きを隠せないまま資料を開く。

資料にはプランの他に、役目を終えた後の寄付先や寄付した日付なども書かれてある。

寄付日付はちょうど1ヶ月前で、それが示すのは今の照明に変わる前の照明は航くんがプランニングしたものだということだった。

あの照明、航くんだったんだ……。

それならどうしてさっき、このことを教えてくれなかったの?

もしかして航くんって自分が手掛けた仕事を表立って話すタイプではないのかな。

またひとつ彼の意外な面を知り、彼と話をしたいというウズウズした気持ちを抑えきれなくて、私は資料を元の場所に戻して部屋の奥に足を向けた。

ここからは航くんの姿は見えないけれど、部屋を出た様子はないからまだ部屋のどこかにいるはずだ。
 
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