【完】せんぱい、いただきます。


私と先輩は電車を降りた。




同じ電車から降りる人の波に揉まれながら、

私は先輩の横顔を見ていた。




駅から私の家は左、先輩の家は右。




「先輩、」


「送るから」



私の言葉をさえぎって、そう言う。

「え、でも。」

「送るから」

「送る」と言いながら

先輩は私の前をずんずんと歩いていく。





そんなに早く歩いたら、すぐについちゃう。





私の家は駅から3分。

何も話しかけられないまま、先輩は私の部屋の前の街灯の下まで歩いて行った。


そして振り返る。



街灯の下。



私と先輩は向き合った。
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