【完】せんぱい、いただきます。
2階のアクセサリーショップを通りかかったとき、
桜色のリボンのヘアゴムを見つけた。
「ちょっと見てもいい?」
男子にアクセサリーショップに入ってもらうことは気が引けたので、
隣のショップにでも行っていると言うかと思えば、
彼は迷うことなく「いいよ」と言い、
一緒にショップに入ってくれた。
私は見つけたヘアゴムに手を伸ばす。
ポリエステルの薄いピンクのリボン。
その先端に白いビーズがついたもの。
よくみると濃いピンクと薄いピンクのチェック柄のリボン。
どっちにするか、悩む。
「そのふたつで悩んでるの?」
後ろから樹くんがひょこっと私の手元をのぞき込む。
「うん。どっちもかわいいよね」
私は二つを見比べた。
「ねえ、これは?」
彼は少し離れたところからピンクのリボンを持ってきて私の髪にあてる。
そして、近くの鏡を覗くように視線を送る。
鏡を見た。
スウェード生地のシンプルな大き目のリボン。
色はくすんだピンクで大人っぽい。
「自分で言うのもあれだけど、それ似合うと思う。」
彼はリボンを髪から離し、私に渡す。
「これにする!樹くんセンスいいね!」
私は即決でこのリボンを買った。