【完】せんぱい、いただきます。

そのあとは、この前と同じようにメンズの服や小物をみながらぶらぶらした。



歩き疲れた私たちはチェーン店のコーヒーショップに入った。



夕方だというのに、店内には学生がたくさんいた。



それぞれ飲み物を注文し、空いていた隅の席に座る。






「俺、実紅ちゃんとこうやって二人で遊ぶ日が来るなんて全然予想してなかった」




コーヒーを飲みながら彼はしみじみという。



「それは、私もだよ」



「ゼミのグループが一緒だったけど、あのグループではそんなに話したことなかったよね」



「たしかに!樹くんが心理学の授業で話しかけてくれたから今があるんだよね」


「それは、ノートとってなかったから。

それに話しかけられそうなの実紅ちゃんくらいしかあの授業いなかったし。」


「でもあの授業とってる人、うちの学科でも何人かいたし。

樹くん顔広いからサークルの人でもバイトの人でもいたでしょ」




「そうじゃないんだ」

「・・・」


「そうじゃないんだ」





いったん会話が途切れ、私も彼も自分の飲み物を飲んだ。


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